2021.2.5
♪カネコアヤノ 「爛漫」
♪ 自暴自棄より早く走るしか
明るい部屋はないんだよ
あたし、ついに、路上ライブ始めました。
もう、ずっと一年くらい言い続けてたけど、やらないでいた路上ライブ。
正確には公園ライブだけれど、ちゃんと、お金いれてもらう箱と、自分の紹介スケッチブックを置いて、
通り過ぎてく人達を前に歌っている。
正直に言うとね、路上ライブの人、あたしすごく怖かった。
自分がやりたいと思えば思うほど、なんて、むなしい人達だろうって思ってた。
笑顔で、必死に、誰も見てないのに歌っている彼らの姿を見るたび、あたしのこころは傷むの。
なんて、むなしいんだろう、やめればいいのに、やめればいいのに
だから、できなかった。怖かった。
あたしも、あの人達みたいに、むなしく誰も聞いてくれていないのにニコニコしながら歌うなんて、絶対にできないし、やりたくない。
だったら、やらなければいいのに、なんで、あたし、路上ライブやってるんだろう?
あたしは、あたしは、今までのあたしは、良い高校に行って、大学に行って。いい大学に行くために、勉強と部活、一生懸命がんばって。
他の無駄なことは省いて、ひたすら、将来のために走っていた。
勉強のために勉強してるんじゃなくて、いい大学いくために勉強している。
でも、そういう生き方にはいつも、不安が伴ってる。止まったらもうおしまいで、自分の生きている意味がわからなくなっちゃう。
勉強してない自分に、部活してない自分に残るものはなんにもなくて、目標がかなわない恐怖がいつも心のどこかにある。
そういう風だったから、自分の見えてる景色は、すごく狭かった。楽しく生きている人をみると、冷めた気持ちになるし、
泣いたり怒ったりする人を見ても、なんであんなに騒ぐんだろうって、大人なくせにって、思うようになってしまった。
高校の時ね、軽音の人達が何か学年レクとかあるたびに、ステージで歌うの。そういうのもすごい冷めた目で見てた。
ダンス部は、盛り上がっていたように見てたけれど、やっぱり、心の底では冷めた気持ちがあった。
毎日練習してるのに、あの人たちは、なんて空しいんだろう。
あたしはハンドボール部だったから、べつに観客のために頑張ってるわけじゃなかったし、そういう心配、むなしさがないからこそ、あたしは自信をもててた。
べつに、みんなのために頑張ってんじゃない。ただ、楽しくてやってるだけだもん。
そういう自分が、あたしは好きだった。
でもね、なくせに、結局、目立ちたがり屋なの。いいなって思ってるの。ステージに立って、観客から声援をあびて、
憧れてるの、本当は。
本当は、憧れているけれど、声援もらいもできず、歌ったり、踊ったりしている人を見ると、こんなにはなりたくない!って思うの。
プライドが高いんだ、あたし。
勉強って、しんどい時もあるけれど、部活と一緒でね、かっこ悪くないでしょう?
しかも必ず、いい大学に行けばいい成績をとれば、親から親戚から近所の人から友達から先生からほめてもらえる。
それって、かっこ悪いおもいをしないで、声援もらえるのと同じなの。結果が実れば。
だから、あたし、かっこ悪いおもいしないまま、有名になりたいって、思う気持ちが強かった。
でも、考えてみれば、実は、最初からそうだったわけでもないんだ。そうだ、思いだした、
高校一年生の時に生徒会の会長に立候補したことがあった。
そのときのあたしは、恥ずかしいなんてそんなもの全然なくて、ただ、みんなの前にたって頑張りたい!ってそういう気持ちで溢れてたから、1年生の5月そうそうに、学年全員の前にたって「世界を平和にします!」って宣言した。その時の学年の反応。
ショックだった。本当にショックだったよ。
すごい冷めてた。は?何言ってんの、あいつ?
上の学年の人達なんて特にそうで、クラスに帰ってもみんなあたしのこと冷たい目でばかにしたように見てる気がして、ほんと、怖かったな。怖かった。
そういう時って、冷たいものばかり見えちゃて、きっとそれに対して、すごいと思ってくれた人もいたとおもうんだけど、気づけないのね。他にも、こりずに、クラスで学園祭のクラス実行委員引き受けた時も、失敗しちゃって、クラスの男子を敵に回すようなことがあって、そこから、わたしは、大勢の前で前に立つことが怖くなってしまった。
そして、きがついたら、あの時怖いと思っていた人たちに、自分自身がなっていたのね。
だから。だからこそ。
変わりたいの、変わりたいの。
きっと、同じことしちゃう。受験と同じ。高校の時と同じ
音楽の世界にはいっても、周りのアーティストと自分のレベルを比べて、焦って、
音楽やってくるくせに冷めた目で他の人のこと見てて。いつも何かにおびえてて。
あたしは、そういう風になりたくない。同じことをもう、繰り返したくない。
かっこ悪くていい。恥ずかしくていい、バカにされても、冷めた目で見られてもいい。
ただ、ただ、変わりたい。この自分を変えたい。
みんなから注目されることばかりおいかけて、認められることばかりに一生懸命になって、
そうじゃない。そうじゃない、そうじゃない。
あたしは、歌うのが好きなの。歌うのが好きなの。
この気持ちと同じ気持ちをもっているけれど、言葉にできない人の代わりに、ちゃんと、言葉にしてあげたい。
寂しさも、怒りも、むなしさも、醜さも
だから、あたしは、歌を歌うの。
今、あたしは、4日前から毎日、井の頭公園のどこかで歌を歌っています。
歌っている時、誰か注意しにくるんじゃないか、「うるさい黙れ!」って言われるんじゃないか、怖くなる時もあるけれど、
それでも、毎日、どこかで、歌っています。きっと、誰かが、聞いてくれていると信じて。
2月中は、毎日路上ライブをしてお金を稼いで、3月に一番最初のアルバム「かもがわ」をそのお金で作ろう。
これは、あたしにとって、初めての挑戦だ。
絶対に、やるんだ。