【連載】コロナ禍の京大1回生 #1    -1回生をつなげる会-

【連載】コロナ禍の京大1回生 #1 -1回生をつなげる会-

コロナ禍の京大1回生

1回生をつなげる会 編集委員

はじめに

この記事は「1回生がつなげる会」特別編集委員会がまとめた報告書「コロナ禍の京大1回生」を、千万遍石垣連載用にアストナージさんが加筆・一部編集を行ったものです。これから6日にわたって毎日、以下のような記事が千万遍石垣に掲載されます。()は編集を行った特別編集委員です。また、当報告書は京大生の「声」としてツイートを軸に記述を行っていますが、投稿主の意志やプライバシー保護の観点からツイートの一部を伏せて掲載することがあります。

章構成と連載スケジュール

1.この報告書・1回生をつなげる会について(アストナージさん) 3/10

2.京大側・社会の対応(アストナージさん)  3/11

3.学生の自主的なつながり(しょとう)  3/12

4.履修登録について(タウリン)  3/13

5.奪われた大学生活(たつきぃ)  3/14

6.1年を振り返って(アストナージさん)    3/15

1.この報告書・1回生をつなげる会について

本『コロナ禍の京大1回生』は、「1回生をつなげる会」の特別編集委員会によってまとめられた京大1回生の「声」を記録・保存し社会に届けるための報告書である。また本報告書はそれと同時に、京大1回生自らコロナ禍での自分たちの経験を刻んだ歴史書でもある。主観的な事実の配列である歴史をこれからまとめるにあたって、私たち「1回生をつなげる会」とその編集委員が本報告書をまとめる理由とその目的を整理しておきたい。

「1回生をつなげる会」とは2020年9月に京都大学の1回生有志2名によって設立された団体である。コロナ禍で分断された大学生1回生を、企画を行うことで結びつけることを目的に活動してきた。この団体の活動の軸は二つあり、一つは前述したとおり1回生同士や上回生・ひいては大学や社会を「つなげる」ことである。そしてもう一つが「個人の経験の歴史化」である。私たち大学1回生が2020年度に経験した苦しみや孤独そしてその中で見つけた小さな喜びまで、それは私たちだけの物であり、他者に都合よく利用され社会の大きな物語や美談に利用されていいものではない。東京オリンピックが「コロナを乗り越えた証」として行われ、私たちの苦しみが美談のための演出に使いつぶされる。そうなる前に私たち自身の手で私たちの経験を記述し、保存すること。コロナ禍の大学1回生の経験を歴史として保存することが「1回生をつなげる会」が行う企画のもう一つの軸であった。本報告書も「1回生をつなげる会」が行っている「個人の経験の歴史化」の一貫であり、集大成であるといえる。

それと同時に私たちはこうしたコロナ禍の大学1回生の「声」をまとめて社会に届けることを目的として、本報告書を各種ネットメディアに掲載そしてマスメディア・大学の各機関に送付する。コロナ禍での大学1回生の経験は、2021年度のコロナ禍での学生対応の際にも参照されるべきものであり、社会一般に存在する「自粛しない若者像」といった偏見をすこしでも正すことを期待して発信するものである。

最後に本報告書の編集方針についてまとめておきたい。本報告書は「コロナ禍での京大1回生」の経験を歴史として記録するものである。1回生の「声」としてのTwitterのツイートの引用や「1回生をつなげる会」が行ったTwitter上でのアンケートの結果をもとに、様々な側面から今年1年のことを記述していく。基本的には大学生としての立ち場から事実を記録していくが、これらは各人のおかれた環境の影響を受けている。このことを踏まえたうえで、我々はコロナ禍の京大1回生の「歴史」をここに刻む。

2021.03.07   1回生をつなげる会 アストナージさん