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SNSで半歩前を紡ぐ極意とは

SNSで半歩前を紡ぐ極意とは
書いたひと: 木兎

アカウント開設後わずか100日でフォロワー2万人を達成した「Twitter界のストーリーテラー」こと、あっきゃん@_akkyann。臨場感溢れる情景描写と、気持ちを動かされるような濃密なストーリが魅力的だ。1日1ツイートされる文章にはどれも、内容の面白さはもちろんのこと、140字とは思えないほどの情報量が詰まっている。例えばこちらの投稿。

そんな彼女に文章力の秘訣を教えてもらうべく、3月某日にインタビューをさせていただいた。本記事ではそのポイントを2つに分けて紹介する。また、Twitterでの投稿を通して感じた、ご自身の心境の変化も伺った(この記事は5分で読めます)。


(zoom上でインタビューを受けてくれたあっきゃん。取材を受けるのは初めてとのこと。)

秘訣1:「誰にでもわかる」がいかに重要か

あっきゃんは社会人として働く忙しい毎日の傍ら、1日1ツイートを続けている。そして毎回数千のいいねを叩き出す。話を聞くと、実はひとつの投稿に、とんでもない時間と労力をかけているようだ。

「ひとつの投稿に合計して数時間はかけてますね。だいたい仕事終わりの夕方に投稿をするんですが、投稿し終わったらすぐに、次の日のベースを作るんです。それが1時間くらい。その1時間の中で最初の全体像を絶対に作り上げる。で、次の日の朝の仕事前に添削したり、仕事の休憩時間にちょっと見返したりして「これでいいと思ってたけど今見たらだめやな」というのを直していきます。客観的に見て伝わりやすい文章になるように、飽きさせないように、何度も書き直します。それを最終的に投稿する、という感じ。結構時間かかるんですよ。誰よりもひとツイートに時間かけてるんじゃないかって思います」

こんなにも手間暇をかけて丁寧に推敲するのは、「誰でもわかる」ことを大事にしているからだそう。

「私の投稿を読んでくれている人って、手のスクロールを止めてわざわざ時間を費やしてくれているので、そういう人たちのために、わからない内容にはしたくないんです。必ず、一回読んで「なるほど」と思ってもらえるものにしたい。だからこそ、ネタの選び方は誰でも分かる簡単なものっていうのを意識しています。読んで嫌な気持ちになったり損したと感じさせたくはないんですよ」

ちなみに、文章の推敲において気をつけていることについて、彼女自身が過去の投稿で明かしている(あっきゃん構文〜文章ダイエット編〜)。読み手のことを考えて、何度も推敲を重ねていることがわかる。このように「誰でもわかる」に気を配るようになったのは、とある事件がきっかけだったそう。開設直後に自身の仕事である営業の業務について意見を投稿したところ、急にアンチが増えたのだと語ってくれた。

「あれは書いた情報量が少なくて、話の背景がうまく伝わっていなかったことが原因だったと思うんですよね。以来、場面設定とか内容とかについては、誰しもが共感できるものを意識しています。フォロワーという枠から飛び出たときに自分の世界観過ぎていいねもらえないなぁっていうのは、表に出さない。一歩先行きすぎてるなっていうのは控えます。だけど、誰でも思いつくことは書いても意味がないですよね。私だからこそ感じられることとか、みんなの半歩前くらいを行くくらいの内容を書くようにしています。フォロワーの中だけにとどまらず、かといって離れすぎないくらいの、ちょうどいい中間地点を狙ってます。とはいえ、尖りすぎても伝わらないから難しいんですけどね。捻りすぎても、ありきたりでもいいねは伸びない。」

読者にわかってもらえないような文章を、あっきゃんは「一歩先行きすぎてる」という。アンチが急増したその事件以来、「誰でもわかる」ことを強く意識して推敲するようになったそうだ。しかしその一方で、読者と投稿者が全く同じ地点にいては文章は面白くならない。そこで彼女から出てきた言葉が「半歩前くらい前を行く」である。これが2つ目のポイントだ。

秘訣2:飽きさせないための工夫

「投稿を読んで面白いと思ったり、ポジティブになれるような内容を心がけています」と、あっきゃんは語る。内容について、わかりやすさと同じくらいユニークさを心掛けているのだそう。わかりやすい題材を扱いつつ、彼女ならではの発想を織り込んだ唯一無二の投稿、それが「半歩先を行く」投稿だ。内容の面白さを損なわないために、扱う内容についてもかなり吟味をしているという。

「書きたいネタとか結構たまっているんです、実は。日々過ごしてる中でこんなことがあった、あんなことがあったというのはメモにひとつひとつ書き溜めてるんです。けど、それを起承転結あるストーリに持っていくと「あ、これオチない話やな」とかってなっちゃう。そういうのは出さずに寝かせてるんです。」

「読んでて飽きさせないことに結構こだわっていて。序盤から飽きさせないようなキャッチーな、そして誰もが分かるようなものを書くようにはしてます。」

起承転結がしっかりあって、読者を退屈させないような内容であること。そのことが「半歩先を行く」ための一つの条件なのかもしれない。彼女は、「1日1ツイに命かけてるくらいこだわってる」と笑いまじりに明かす。先に紹介した緻密な文章推敲についても、彼女のこだわりが表れているように思う。どうしてそこまでできるのだろう。そんな素朴な質問に、彼女は以下のように答えてくれた。

私のために時間を使ってくれた人たちのための、140字を書きたいんです。共感しやすく、面白く、かつ情景をイメージしやすいツイートで、私の140字の世界に入り込めたような感覚になってほしいなと思って毎日頑張っています。」

書くことは、自分を知ること

あっきゃんが明かしてくれた文章のポイント2つにはどちらも、読者への気遣いが溢れていた。読者を想った繊細な作業を根気よく続けているからこそ、彼女の投稿は多くの人から共感と称賛を得ているのだろう。ここからは、あっきゃん本人に迫っていきたい。Twitterでの投稿を始めたことで生活に変化があったか尋ねると、衝撃の言葉が飛び出した。

「私、もともと国語2だったんですよ」

現在の投稿内容からは考えられない…。現在のような形で投稿を始めたのも、インプットだけではなくアウトプットの練習をしたいという思いがあったからだそう。読みやすい文章を書こうと日々工夫するなかで、あっきゃん自身の国語力・文章力が成長していったことを実感したという。書くことを通じて、言語運用能力は鍛えることができる。そのことを一番知っている人物なのかもしれない。ゆくゆくはnoteなどに長文を書くことへの意欲もあると教えてくれた。

また、投稿に対する読者のコメントなどを通して、自身の境遇や経験について意識が変わったそうだ。

「子供の頃に両親が仲悪いところを見てたり、元カレの話もそうなんですけど、私って結構変わった経験をしてたみたいで。今までそんなに意識してなかったですけど、その体験とか感情が私にしかないものだとだんだん思うようになりました。その独特さが面白いって反応してくれる人もいて、自分のむしろ強みなのかなって。」

自分の過去を振り返って文章にすることは時に、とても苦しいものだろう。あっきゃんは、泣きながら書いた経験もあったと苦笑いする。しかしそうやって振り返ることで、今までの経験を異なる視点で観察できたり、新しい感覚を発見したりすることがあるかもしれない。それが他の人に興味を持ってもらえる作品に昇華する可能性もある。自分の内面を言語化することはとても勇気のいることだが、文章を書くにあたっては欠かせない重要なことだろう。

ー読者に向けてー

最後に、読者へのメッセージをお願いした。

「自分は国語に苦手意識があったんですが、意外と文章書く能力があると、Twitter始めてから気づきました。自分の気持ちを文章にしていく力って、職種問わずみんなに必要になってくるスキルだと思うんです。みんなから応援してもらっている分、私が発信して、それを通して、Twitterの発信やそれに限らず文章を書くことについて苦手意識を持たずにみんなが楽しく向き合っていけるように、頑張りたいと思っています。これまでの人生に起こったことを自己開示という形でアウトプットしていって、読者のかたにエネルギーを与えれるようにしたいです。」

文章を書くにあたっての心構えや推敲について、貴重なお話をいただいた。この「千万遍石垣」は京大生を中心に活動しているメディアだが、まだまだ文章の精度を上げる工夫は行き渡っていないのが現状だ。取材中はずっと自分自身にグサグサと刺さるような気分だったが、今後の意欲を掻き立てられるような時間でもあった。「千万遍石垣」の成長を願いつつ、あっきゃん@_akkyannの今後のご活躍を心から期待している。なお、サンクチュアリ出版主催で近々トークイベントが開催されるとのこと。こちらもぜひチェックしてもらいたい。

 

(ライター:木兎)インタビューは1時間ほどさせていただきました。ここに書ききれなかった興味深い内容も多くあり、全てに言及できないのが非常に残念です。なお記事の構成上、原文ままに書き起こしたものに若干手を加えております。取材協力:おにもつ

202.04.21追記:タイトルを「100日でフォロワー2万人!ストーリーテラーあっきゃんに聞く、半歩前の紡ぎ方」から現行のものに変更しました。

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