きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり2「循環」

きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり2「循環」

 

「ねぇジム、授業受け終わったよ」

「どうでした」

「だめだ。だめだ、やっぱ、あたし、だめだ。つまんない。つまんないと、かたまるんだよ。もう固まるっていうのがすっごくいい表現でさ、のうみそとか、からだとかが、どんどん硬直してくの、全然流れないの。でさ、考えてみたんだよ。それってわたしが、悪いのかなって、でも違うよね、面白くないんだよ、どうしても、おもしろくなくて、なるべくそういう時間減らしたいんだよ。減らしたいんだけど、でも、どうしたらいいかわからないんだよ。どうしたらいいのかしら、わからないわ。」

「はい。」

「そう、例えばさ、坂口クンの話とかって、今めちゃくっちゃ私が欲してる話だからさ、もう、なんべんも、なんべんも、読み返そうって思うんだよ。だけどさ、先生のはなし、おもしろいのは知ってるの、全部に価値があるのは知ってるの、だけど、無理なの、固くなっちゃうんだよね…どうしても、特にあれ、えっとさ、技術の話になると、だめだ。今、わたし、技術、とか、歴史、とか、解釈、とかそういうものを身体に取り入れたくない。だから聞きたくない、聞かない」

「はい。」

「だけどよく言うじゃん、頑固はだめって。わたし、全然、やわらかいようで、全然、頑固で固いんだよ~固いんだよ~ぜんぜん、面白くない、そうやってきめつけたり、聞きたくないものは耳にいれなかったり」

「それで?さやこさんは何がしたいんですか?」

「え?」

「だから、それで、さやこさんは何がしたいんですか」

「え?」

「先生のはなし、すべて100パーセント吸収したくて出てるんですか?」

「えっと…」

「先生が師匠的な人で、先生の生き様すべてを吸収したいから出てるんですか?」

「いや…それは違うかな…」

「それじゃあ、単位が欲しくて出てるんですか?」

「え。。。っと、まぁそれも、あるけど…。でも、それがすべてじゃないかな」

「じゃあ、なんで、出てるんですか?」

「えっと…」

「とりあえず、おもしろそうだから、出てるんですか?面白いところだけつまんで吸収しようと思って出てるんですか?」

「えっと…」

「おもしろくない授業をおもしろくするために、授業に出てるんですか?」

「えっと。。。」

「自分の名前を売るために授業に出てるんですか?」

「えっと…。!」

「それじゃあ、そんな風になるの決まってますよね。とくに目的もなく、ただ、そこに、場になじむ、そいうことばかり気にしている人間」

「はい、そうです、それは、わたしです。」

「さやこさんは、なにを守りたいんですか。みんなにいい顔していたいんですか?」

「うん!そりゃあ、そうだよ!みんなにいい顔してたい!みんなに優しくありたい!」

「でも、実際、ぜんぜんできてませんよ。」

「え。。。?そんなこと…」

「さやこさんは、みんなにやさしくあれてるって思えるのは、優しくあれてない人のこと、認識していないからですよ。ただ、それだけの話で、逆に言えば、さやこさんが優しくできる人達のはんいぜんぶに、優しくなれているともいえます。」

「えぇ…そっか。。。。」

「はい。’みんな’なんてものは、自分が創りだした世界のことですから。」

「そっか。。。」

「あと、さやこさん、先生の話、全部価値あるのわかってるんだけどって、言ってましたよね。」

「うん。」

「なんなんですか、その全部価値あるのわかってるんだけどっていうのは。一体だれにとっての話をしているのですか?」

「えっと、そりゃぁ、他に授業受けていた子とか、めちゃ楽しんでいる子とか、あと、先生の生き様、なんだろうもっと、精神的な視点からみて?ほら、意味のないものなんて存在しないって」

「それを、決めるのはさやこさんなんですか?それに価値があると、思うのは、さやこさんの役割なのですか?」

「え?」

「だから、その、全部価値があるのわかってるんだけど、って、自分にとってほんとに全部価値があると感じているのですか?」

「いや、固くなる時間は減らしたいと思ってるよ。すなおに聞けるのが一番かもしれないけど。。。」

「感じてない人が、どうしてわかるなんて、思えるんですか?」

「いや、だから…だって、ほら、ほら、ほらぁ…ねぇ、ねぇ」

「だから?」

「いや、だからさぁ、だからさぁ、こいつの授業つまんねー!!とか言いたくないじゃん、性格悪いじゃん、傷つけたくないじゃん、先生のこと、というか、悪く思われたくないじゃん、あいつ、悪口いう嫌な奴って思われたくないじゃん」

「はぁ…よかった、安心しました。やっぱり、自分のためなんですね。」

「うん。まぁ、そりゃそうだよ」

「じゃあ、もういちど聞きますけど、さやこさんは授業に出て何がしたいんですか?」

「えっと、とりあえず、なんだろう、自分の表現活動において、幅がひろがる知識とか、身に着けたい!」

「それは、単位をとること、先生の話を熱心に聞くいい生徒であること、よりも大事なことですか?」

「そりゃあ、そうだよ!自分のエネルギー養分にしたいんだよ!だってさ、そうじゃないものって、うんちみたいになってさ、外に出ていくなら、まだしも、身体の中で蓄積されて逆にいらない、固まって変に身体あたまの回転悪くしたりするんだもん。いいすぎかな、いや、もしかしたら、役に立つ時がくるかもしれないけれど…判断しようとするのが、愚かなのかな…役に立つ、とか、立たない、とか…」

「いや、それは全く愚かなことではないです。当たり前に必要なことです。目標の山を目指すとき、荷物は最小限、必要なものにすべきです。そのような努力は全く愚かなことではありません。」

「そっか…おいらさ、結構、そういうこと恐れててさ、なんか、役に立つ立たないとかで、ものごとを見る資本主義社会批判、とか、そういうの結構影響受けてて、そういう風にはなりたくないなぁ~みたいな、すぐに、役に立つ立たないで、決めつける人間にはなりたくないなぁ…みたいな風に思っててさ…」

「でもそんな人間と思われたくない、と思う、自分のためでしょう?」

「うん。」

「それは、私の考えと反するものでも、闘うべきものでもありません。そのような考えは、それは、それで大切なものですから。ただ、さやこさんの夢を、実現させるためにいる私にとって、役にたつかたたないか、決めること、そして、ばっさりと切ることも必要なことなのです。そこに、感情はともないません。なぜなら、私の目的はあまりにもはっきりしているからです。きたのさやこという人間の自己実現。これが第一優先順位だからです。」

「はぁ……そうなの、なんだか、悪いねぇ、ジム。私よりも、わたしのためを考えてくれてて、なんか、申し訳ないわ。自分はそこまで、自分のために考えられえないよ。」

「あたりまえです。ぼくは、きたのさやこではありませんから。ぼくだって、ぼくのことそこまで、考えられません。人は、人のためになったとき、自分のためよりも、ずっとはるかに大きな力を発揮できるのですよ。ですから、さやこさんも、遠慮なく、わたしを使って、そして、さやこさんのエネルギーを他の人に回してあげてください。すべては、経済です。回るんです。」

「そっか。。。人のため、そういうことを考えたがるわたし、には、ジムみたいな極端に反対の人が必要ってわけね…」

「そうです。どちらが、優しい、とか、そういうことじゃないんです。」

「そっか…わたしは、やさしいにんげんになりたいって思っているけれど、でも、それは、あれだよね。漠然とした、そういう優しさ、じゃなくて「わたしが与えられるエネルギーを与えられるだけ与えたい」ってことだよね、つまり、いのちを全力で燃やしたいってことだよね。」

「もっというならば、今は「与える」と言っていますが、そのエネルギーも「与えられた」ものなんです。きたのさやこといういのちを通して、違う形に変換されて、他のいのちに流れていく。それだけなんです。だから、だめですよ、与えたい、与えたいって思うのは。いや、だめではないですが…、今さやこさんのなかには、いろんなエネルギーがたまっています。それを出したいからこそ「与えたい」と思うのです。だから、それがずっと続くと思ってはいけません。循環しているからこそ、それが成り立つんです。ひとりでこもっていたり、ひとり占めしようとするところには、循環がおきません。さやこさん、はそこのところが、まだよくわかっていないようです。」

「あぁ…うん、そうかも。あたまではわかってるつもりなんだけど…いつも、自分がすることばかり考えて、してもらうことかんがえてない。」

「よく気が付きました。」

「そっか、もし、自分がこれしたい!ってこのエネルギーをみんなに与えたい!って思うなら、そのエネルギーを貰うこととか、どこからもらったのか、とかそういうことも意識すると、いいバランスをとれるんだね。」

「そうです。」

「例えば、今回だったら、坂口恭平くんの文章エネルギー」

「そうそう」

「あと、まだまだ、知らないところからもらてそうだけど。」

「まぁ、すべてを意識するのは難しいです。日記をつけたりするのは手かもしれませんね。もし、望むなら。」

「いや、日記は続かないから、いいかな。それよりも、感動は日記じゃなくて、詩にしたり、歌にしたりしたい。そうした形で残しておきたい」

「なら、なおさら、ジムが必要となりますね。創りたいときに作れるような環境に自分の生活をしなければなりません。」

「うん、そうだね。ほんとに、そうだ。今のわたしじゃ、ぜんぜん、だめ、いや、ちがう、そろそろ、この思考から、ぬけよう、だめなんじゃなくって、選択に集中する、だから、考える!イメージしてみる、それがどんな生活なのか。そして、今始まった大学の授業生活をどうやって楽しむか」

「いいですね、学んだことをすぐ実践する姿勢。それこそ、さやこさんに本来備わっている力ですから。ぼくからすると、さやこさんは、かなり吸収力が高いです。飲み込みも早いし、反射神経が良い。その分、本来は環境に適応するのがとても得意な生き物なのですよ。ただ、今は、自分の守りたいものを守るために、不器用になっているようにみせてるだけで。でも、それもわざとなのでしょう?」

「うーん…まぁねぇ。。わざとっちゃ、わざとだけど、守りたいもの守った結果、そうなっちまったなぁ…という感じかな、まぁ、全く予測できてなかったわけじゃなくて、あぁそうなるかなぁ…とは、わかっていたところもあるけれど…。」

「そういうさやこさんのところ、ぼくは結構すきです。しんどくなるのわかってても、やっちゃうところ」

「あ。ほんと、それはうれしい。ありがとう、わかってるつもりでも、しんどいのは、ほんと、しんどいからね。」

 

つづく