きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり4「餃子の王将 セブンイレブン 駐車場」

きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり4「餃子の王将 セブンイレブン 駐車場」

「ねぇジム」

「はい。」

「今ちょっと、コンビニにごはんを買いに行ってきたよ」

「はい。」

「なんかね、歩きながら、ビールがふと飲みたいって思って、そして餃子を食べたいって思ったの。」

「はい。」

「それでさ、でもルネに行きたくて、ちょっと遠かったんだけど歩きに行ったんだよ。」

「はい。」

「そしたら閉じてたの。」

「うん」

「で、だからさ、百万遍に何かあるかなぁって、久しぶりに百万遍に言った。百万遍のセブンいいかなって思って」

「はい」

「そしたら、なんか餃子の王将があってさ、ケンタッキーフライドチキンがあってさ、マックがあってさ、札幌ラーメンやさんがあってさ、吉野家があってさ、すき屋があってさ、」

 

「最初、思い出の札幌ラーメンに行きたくなって、行ったのさ、ちょうど2年前くらいかな、もう爆発しそうでほんとに毎日儚くいのちを燃やしてたときにさ、我妻君と森下君と一緒にいったとこ、泣きながら、ラーメンたべたとこ」

うん

「そしたらさ、8時までだって言うの。テイクアウトもやってないって言うの。」

 

「だからさ、結局餃子の王将に行ったの、それで、たくさんメニューあったんだけど、とりあえず、食べたかった餃子と、あと、堅あげそば頼みたかったんだけど、ちょっと高かったから、悩んで、やっぱり、餃子だけ注文した。」

はい

「店内さ、結構混んでて、幸いテイクアウトの人わたしだけだったけど、後ろで学生の若い男の子たちが座って席待っててさ、」

 

「それで、餃子って案外、時間かかるのね。」

 

「しばらく、じーっと待ってたんだよ、なんかジムのこととか、考えたり今日の授業のことかんがえたり、現代の社会システムについて、働いてるひとたちとか、店内のお客さんみながら考えたり」

うん

「それで、ようやく餃子が来てさ、やっぱ餃子だけじゃ足りないなぁって思って、セブンに行って、男梅のサワーにするか悩んだんだけど、結局札幌黒ラベルのビール買ってさ、北海道のとき、もーりーとかみんなで飲んだあのビール、あと、まだ足りないかなぁって思って、適当に身体にめっちゃ悪そうなセブンのさあのブランドのパッケージの濃厚ポテトチップス買って、それで、レジに並んだわけさ」

うん

「そしたら、あれよ、店員さん若くてさ、多分おいらと同じくらいなんだけど、すごいさわやかな対応で、なんだかおいら、ちょっと恥ずかしくなって、いつもは、機嫌よくありがと~とかいうんだけど、「ありがとうございます」ってちょっと、はにかんだ感じで外に出てさ、近くの駐車場の端っこに座って、道路濡れてたから王将のレジ袋お尻にひいてさ、ひとりで
ぷしゅっ!
って、ビールあけて、駐車場一人居酒屋よ、まずはポテチあけて、2.3枚食べて、それから餃子。なんか醤油入ってなくって、ひとくち、しょうゆかけずに食べたけど、やっぱりものたりなくて、レジ袋探ったらさ、しょうゆがやっぱり奥に入ってて、それで、それかけて、端っこにおいて、だけどやっぱり足りなかったから残りのしょうゆも全部かけて、食べたの。」

 

「そんでさ、ひとりで、今日の授業のことかんがえるわけ。今日のこと、あと、こうして、道端でご飯食べること。」

「うん」

「わたしさ、昔から、なのかな、わかんない、なんかね、ひとりでお店の中で食べるの苦手なんだよね、なんか息がつまる感じがするっていうか、食べたら早くでなきゃ…。っていう感じが、窮屈な感じがして苦手っていうか…。」

 

「だからさ、コンビニの前とか、駐車場とか、誰もいない道の端っこ、デルタとか鴨川沿い、とかで食べるの。そっちの方が落ち着くから」

 

「だけどさ、あれなの、やっぱり百万遍はさ、学生が多いじゃん、そうやって一人で食べてるときって、うるさい感じのともだちとか、のりが軽い感じの友達には会いたくないんだよね。」

 

「だから、ちょっとドキドキしてたけど、誰か知り合い通らないかなぁって、でも結構、駐車場の奥側だったし、多分、誰も会わなかった。」

 

「それで、食べ終わった後さ、なんか、まだ、ものたりなくて、それでさ、結局、もう少し食べたいなぁ…って思って、でも、何食べたらいいかわかんないし、どうしようって思って、途中ローソンあったから、やさいいたっぷりミニちゃんぽん、ってやつと、迷ったけど、本当は買わないつもりだったけど、温めの途中、やっぱり心配になって、Lチキ頼んだんだよね」

うん

「それでさ、そのまま車来ないし、道路わたってどこでたべよう、そうだ、京大だったらいいや!って思ったら、博物館前にあるなんか、変なバス停があってさ」

 

「青いベンチだけおいてあるとこでさ、わたし、なんかそういうの、すごいピンときて、すぐにその前にすわることにして、さっき温めして、やや持つには暑すぎるそのちゃんぽんとさ、chicken食べ始めたの。」

 

「ちゃんぽんはさ、結構いいんだよ、こう、なんだろう、すごい、あぁ、これ食べたかった!!って感じでさ、あっちいうまに食べちゃってさ、」

 

「そんで、chicken。正直、もう、いいなぁ、ちゃんぽんで、口の中もお腹もいい感じになってるなぁ…って思ったんだけど、だけど、買ったし、冷めたら困るし、食べたの。」

 

「そしたらさ、うん、失敗した、あぁぁぁ、わたし、これべつに食べたくなかったなぁ。。。。って感じがして、だけど残すのはいやだから、とにかく最後までたべて歩き始めた、家にね、向かって」

 

「そう、でも歩き始めたら、やっぱりさ、お腹いっぱいすぎて、あぁ。。。まちがえたなぁ、、、chickenやっぱり頼まなくてよかったなぁ…って、横目でローソン見ながら、さっきの選択について、選択してる自分のことを外からみてる気持ちで、買うな買うな、いらないから、だいじょうぶだから、ってさっきチキン買う選択した自分に向かって、心の中でつぶやきながら帰ってきたってわけ」

 

「なんかさ、ジム。」

「なんですか」

「もう、こんなわずかな間にさ、もう、おいら、考え変わってるの。明日授業でなきゃーとか、ちゃんとルーティーン作んなきゃ―とか、先生に出された課題やらなきゃーとか、そう、ともだちにね、躁鬱日記っていうの送ってるともだちがいて、躁鬱日記にさ、今日の授業の様子書いた日記を書いて送ったのさ」

「そしたら?」

「そしたらさ、もう、さっきは、単位いらない、とか言ったんだけど、なんか、やっぱり今日の授業楽しかったな~とか思って、ちょっと桂山先生の授業は疲れちゃったけど、でも三平先生っていう天皇家みたいに礼儀正しい先生の授業は、なんか、楽しかったなぁ。。。って、まぁ途中寝ちゃってたんだけど。」

「うん」

「でさ、なんだろう、授業の最後に三平先生にさ、質問したんだよ。司法のありようについて、その裁判官への信頼、みたいなことについて。そしたらさ、三平先生、おいらに「うん、それはいいご指摘ですね」っていって、もっと丁寧に、わたしの質問の意図みたいなのを分解して話してくれて、その時の会話がさ、なんか、やけにこころに残ってるっていうか。。。なんか、かいこの、まゆ、みたいな白いやわらかい、かんじ、そんなかんじを想像するというか…」

「うん」

「なんなんだろうね、人間って、ほんとにさ、さっきはそう、もう単位なんかいらない!って思ったのに、授業なんてつまらない!って思ったのに、家に帰って桂山先生から出された課題やろーって思ってて。それで、来週の授業たのしみだなーって思ってて。」

「うん」

「なんなんだろう、さっき、ジムと話したこととは、もう違うことかんがえてるんだよ。」

「でさ、おいら思ったのね。さっき、ジムは感情はいらないっていったでしょう。だけどさ、わたしってにんげんは、結局、その感情っていうもので動いているんだよ。」

うん

「感情ってさ、一人のなかにある、っておもうじゃん。でもちがうのね。感情って、ほんとに、あれなの、大きな大きな海、みたいな感じなの。身体は別々だけど、ぼくたちはさ、からだのなかに、つながってる海みたいなのをもってて、いっつも動いてるの、連動してるの、連動してるというか、もう一つの海だから連動とかじゃないんだけど、」

「だからさ、なんていうんだろう、ジムってさ、おいらにとってとっても大事だよ。だけどさ、すぐジムから離れて、いろんな人にあったら、その感情の波っていうのが、同じだから、近くにいるひとたち、ってさ、じぶんにとってすっごく強い影響力があるの。近くにいればいるほど、海が同じ動きするから……」

「ジムからもらう、波の力が弱くなるんだよ、離れると」

うん

「それに気が付いてさ、なんか、あぁぁ、、、って思ったんだ」

「おもしろいですね、さやこは。そんなこと普段考えてるんですね。」

「うん、そうなの、こんなことばっかかんがえてる」

「わたしはいつも、事務のことしか考えていませんから。いかにして、時間を省けるか、とか、いかにして、効率的にできるか、とか」

「なるほど」

「だから、さやこのはなし聞くのは楽しいです。話してくれてありがとう。ぼくには、あまり、そのような友達がいませんから、さやこのようなともだち」

「うん、たぶん、おいらも、ジムみたいなともだちね、一人もいないよ」

「はい」

「でもさ、おいら思うの。ジムさ、あれでしょう、植物とかと喋れるでしょう」

「はい、そりゃそうですよ。鳥ともムシとも、この世にあるものとは、なんでもしゃべれますよ」

「うん、そうだよね、それって当たり前だよね。おいらも喋れるの、だってぜんぶが、おいらなんだもん。」

「そりゃ、そうですよ」

「でしょ、うん、そんな感じだよね、だけどさ、なんかそういうこというと、変って思われちゃうというか…だからさ、なかなか言えなくって。京大のね、楠木の隣の楠木、おいらがつらかったとき、すごい助けてくれて、さっきさ、ローソンの帰り、通ったの。で、ありがとー!!って久しぶりー!!って挨拶してきた。そしたらすっごく嬉しそうにしてたんだ」

「それはよかったですね。きっと楠木さんも嬉しかったに違いないですよ。さやこさんの嬉しそうな顔を見て。だって、植物ほど、すなおな生き物ないです。」

「ね、ね、ほんとに可愛い…おいら、でもまだね、草とかはちょっと難しくって、樹とはすごくはなせるんだ」

「まぁ、草とかになると、たくさんですからね、しゃべり始めたらきりないですから。いいんですよ、しゃべりたい子たちとしゃべれば。だって、人だってそうでしょう?しゃべりたいって思った子が、さやこを呼んでる子ですから」

「そうだね、ありがとうジム。」

「ははははは」

「お、笑ってる、なんで?なんで、笑うの?」

「いや、なんでもないです。ミズサヤコ」

 

 

出会ってから初めて笑ったジムの顔は、ふわふわのたんぽぽみたいな笑顔で、

わたしはなんだか泣きそうになったのだった。

 

つづく