きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり9「真夜中の電話」

きたのさやこ成長事務アドベンチャーものがたり9「真夜中の電話」

ちゅうに正直なことを伝えたさやこは、また人間世界に戻り、少しばかり携帯をいじっておりました。

「調べてみた!そしたらさ、ふじえだむしまるさんっていう、暗黒舞踏やってる京都の人がいて、その人のフェイスブックページ見てみたら、11月2日からからだ芸術祭っていうのをやるらしいんよ、大阪のえにし庵ってとこで。それでさ、それに手伝いで参加しようかなって思うの。」

「いいですね」

「それでさ、電話番号書いてあって、もう、電話してみたいんだけど、どう思う?やばいよね。」

「なにがやばいんですか?」

「え、なにがって、こんな時間に電話することだよ。寝てるかもしれないよ、失礼じゃない。」

「どんな時間でも、空いては寝てるかもしれませんよ。お昼寝してるとか、風邪ひいているとか、コロナになってるかもしれません。」

「いや、まぁ、そうなんだけどさ。」

「その気遣いは、誰のためですか?相手のためですか?」

「いや、自分のため。嫌われたくないし、怒られたくないもの。」

「はい、では、どんな選択も自分のため、と考えた時に、明日電話するのと、今日気持ちがあるうちに電話するのどっちがしたいですか?」

「そりゃ、今したいよ。明日じゃ、気持ちなくなってるかもしれないし、なにより、こういうことしちゃう人間ですって伝えたいもん、時間関係なく電話するような人間ですって、」

「はい、なら、してみたら、どうですか?」

「うん、うーん。。。。」

「なら、もし自分だったらと考えてみてはいかがです?」

「もし、自分だったらって考えたらさ、そんな時間に電話してくるやろう、面白いし、絶対怒らないよ。よく電話したねって、常識にしばられず、よく電話してきたってほめてやりたいよ。」

「なら、電話すべきです。」

「うん、そうしてみる。」

 

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「電話してみた。」

「どうでした?」

「うん、電波の届かないところにいたよ。」

「なるほど、良かったですね。でも、その一歩は大きいですよ。」

「そうだね、そうだね、いつも、大人とかが相手になるとさ、気に入られよう、気に入られようっていうのから入っちゃうから、ほんとは一緒にいてしんどい人にまで、がんばって合わせちゃうんだよ。それよりも、自分はこういう人間です、っていう、なりたい自分の姿でいられる自分のまんまスタートすれば、はずれか、当たりかすぐわかるもんね。」

「怒られないように合わせる人になるか、楽しく過ごすために会う人を上手に見つける人になるか」

「うん、わたしは、後者がいいな。もし、合わなそうでも、自分に必要な人であれば、その時は、その人に会わせるよ。」

「いいですね。必要な人ならばっていうのが。」

「あと、ヤマダアオイちゃんにも連絡してみるよ!一度会って、ご飯食べて、友達になりたい!って。ギターでオリジナルソング、創って送るのがいいかもしれない。そういうの好きそうだし」

「いいですね、きっとアオイさんなら、友達になってくれますよ。」

「うん!だよね!やっぱ、アヤノちゃんはちょっと、そういうの苦手そうでだめだし、のんちゃんは、ちょっと、芸能人すぎてだめかなぁ…」

「でも、さやこのこと面白がってくれる人、絶対、いますよ、そっちの世界に」

「そうだよね。よくわからないところに自分を売り込むんじゃなくて、自分のこと好きそうな人に自分を売り込めば、いいんだね。これ、確実。だから、いろいろ、そういうの、もっと調べてみようと思う。」

「いいですね、どんどん、前に進んでいってる。」

「うんうん、自信失ってたけど、違うね、ちゃんとやってみたら、いい感じで話し進んでくじゃん。松本先生にはちゃんとアポをとって、一回話してみることにする。」

「そのばあい、教授ですと、何回生なの?とか、すぐに話を誘導されて行ってしまいますから、あらかじめ、ちゃんと、言いたいことは決めていった方がいいですよ。そうすれば、どんな誘導されても大丈夫」

「わかった、そうしとく。伝えたいのは、えっと…えっと…

・回生とか授業の単位、そういうことは気にしていないこと

・自分の今の正直な気持ち。

(今まで学生生活どうやって過ごしてきたのか、表現者になりたいこと、分析されること、分析脳になるのはいやなこと、一緒におかしくなりたいこと、記録を残してきたこと、それでなにか論文を書きたいこと、そのためになにかおすすめの本があれば、教えてほしいこと。あと、こういう私が、先生の研究室に入って、楽しいかどうか、合っているかどうか。)」

「いいですね、なによりも大事なのは正直であることです。自分がやりたいことに対して。」

「うん。胸に刻んでおくよ。変に、気に入られたいがために、自分を曲げたら、次にくるのは、しんどさとか憎しみになっちゃうからね。」

「さやこは、昔からとても正直な人間なので、きっと、すぐにできますよ。」

「うん!じゃあ、むしまるさんには、明日連絡してみる!
それで、図書館は、日曜日空いてなかったけ?空いてたらいいんだけど、なかったら、明日はどうしようかな、とりあえず、アオイちゃんにも、メッセージ送ってみる。それで、なべちゃんに、頼みたいんだよね、写真とってもらうの。でも、約束すると嫌になるから、偶然会った時に頼んでみることにする」

「はい」

「ぜんぜん、進んでるじゃないか、わたし、たのしいことしかないじゃないか、焦ること一つもないじゃないか。」

「はい、そうですね。それで、あと、それだけじゃないでしょう?」

「うん。それだけじゃない。えっとさ、あとさ、あったはずだよ。ウーバーイーツでもしようか、明日。」

「そうじゃなくて。」

「えっと…。短期目標ね、なりたい姿ね。とりあえず、2年間、やりたいこと、、、がんばりたいこと、、、、ない!!ない!!全然ない!とりあえず、あした、見えたやること明日やってみるよ。」

「わかりました。」

 

そうして、ジムに別れを告げた私は、東京から送ってきてもらった、自分の文章たちを読み始めるのでした。

 

続く…