「まぁ、いいや、なんか話が脱線した。見せたかったのはこれ。」
「おぉ、すごい、まさしく、1、2年生の時のさやこですね。」
「そうなんだよ、そうなんだよ、そうなんだよ、そうなんだよ!!
おいらもさ、総合人間になりたかったんだよ!!あれも、これも、それも、どれも、
もう、すべての教授の部屋にいって、対話してさ、みんなと友達になってさ、
異分野交流の会とか開いちゃってさ、そういうこともう、めちゃくちゃ妄想しまくってたし、
どの分野でも、精通した人間になりたかった…」
「はい。」
「だけどさ、そういうの、なんだろ、もう鼻で笑う風潮があって、」
「はい」
「総合人間?は?なにそれ、ばかじゃん、みたいな。」
「はい。」
「わたし、あぁ、むりだ、総合人間なんて無理だって気が付いてから、なんか結局、自分がそういう人間になってたよ。」
「はい。」
「学部?あ、はい、総合人間学部なんですぅ、でも一体なんなんでしょうね、ばかですよね。みたいな」
「はい。」
そういって、しばらく二人は、黙って窓を見ていました。
広く、浅くかぁ…いいなぁ…
ほんと、そうなりたかったんだ。わたし。
「だけど、変に、広く浅くはだめなんだ、って他の人がいってたことも気にしててさ、専門を身に付けないかん!みたいな。
最初から広く浅くでいい!って割り切れてたらよかったんだけど、変に葛藤しちゃって、なにも手につかなくなっちゃった…結局は。」
「でも、そのかわり、また自分なりの学問の仕方を見つけ出そうとしてるじゃないですか。さやこ。」
「うん。でさ、ほかにも、つかもとくん、すごいんだよ。
般教かな、総人のかな、めちゃくちゃある授業の感想アンケートみたいなのとってさ、自分で授業おすすめ表みたいなのまとめて、ブログにあげてるの。」
「それは、かなりジムの力が試されますね。」
「うん、でしょう?わたしさ、」
「はい」
「それ見たとき、なんかね、安心したんだ」
「あんしん?」
「うん。そう、あんしん。
もし、そんなのやってるって、今までの清子がわかったら、もうめちゃくちゃショックだったと思うの。あぁ、、、、それ、わたしがやりたかったことだったのに…って。わたしなんて、その間なにもしてない、ほんとに、くそカスやろーだぁ、、、って。」
「はい。」
「だけどね、なんだろ、もう、わたし、そんなことは今できないのよ」
「はい、そうですね。授業行ってないし。」
「だからこそ、そっかぁ。。。って思って。
なんだ、そうか、自分がやりたい!って思ったことって、ちゃんと同じようにやりたい!って思ってた人がやってくれるんだなぁ…って思ったの。」
「いいことに気が付きましたね。」
「うん。同じことやりたい!って思ってる人って、ライバルで怖くもあるけど、だけどその分、自分の担当領域がはっきりした時点で、すっごく、いい仲間になる、というかさ、応援したくなる、というかさ。
おれは、この部分でがんばるから、お前は、その部分がんばれよ!みたいな。」
「はい」
「つかもとくんなんて、べつに、話したこともほとんどないし、通りすがってもあいさつもしないし、そんな感じだけどさ、」
「はい」
「それでも、なんか、嬉しかった。」
「うん」
「なんか、今は思いつかないけど、もう少したって、お互い、まぁわたしだけか、なんだ、もっと自分の役割とか確立してきたら、一緒にやりたいな。なにか、一緒に創りたい。仕事、っていうか、遊びに近いかな。遊んでたら、自然に人が集まってて、仕事になってました~って」
「想像するのは、いいことです。きっと、叶いますよ。ぼくがそばにいますから。」
「うん!夢をかなえる、それが
ジムなんだもんね」
そうして二人は、紅茶を飲みながら、のんびりと午後の雨の音を聞いていたのでした。
n兎を追うものは一兎をも得ず編
おしまい
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おまけ「n兎追うものはn兎得れるんじゃ…」
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「てか、いいんかな、スクショあげちゃって、許可もとってないんだけど」
「いいんですよ」
「そうかなぁ、、、なんか他のともだちとか、おまえやめとけって、そんなことしたら、メディアりたらしーたるものなんちゃら、かんちゃら…」
「さやこは、ユウタをおとしいれたくて、そんなことしてるんですか」
「なわけないじゃん。」
「さやこは、彼の文章を盗作したいのですか?」
「んなわけないじゃん、思いっきりつかもとゆうたって言ってるし。」
「はい。ともだちから怒られそうなのわかったうえで、なぜ、あげようとするのですか?」
「だってさ、読んでほしいんだもん、他の人にも、彼のこの文章。しかもさ、こうしてあげたら、つかもとくんに興味もってくれる人増えるし。そしたら、なんか嬉しいじゃん」
「それを見てつかもとくんは怒ると思いますか?」
「うーん…怒らないとは思うけど、気を付けてね、とは言うかも。
べつに、俺はいいですけど。でも、そういうことやられて嫌なひとはいると思うので、マナーは守ってくださいね、みたいな。」
「なら、いいですね。」
「うん、そうだ、そう、困るのはさ、それだ。」
「それ?とは」
「変に心配されると、ほんとに、おいらメディアりたらしーない、やばいやつなんだ!って思い込んで、そう思われないようにするために、必死に守るのアピールするようになるわけだけど」
「はい」
「それじゃあ、窮屈なわけよ。なんかさ、こう、いいことしたくて守ってるんじゃなくて、やばいやつって思われたくないから、守るアピールというかさ。」
「はい。」
「だから、おまえら、に次ぐ!
わたしは、ちゃんと、そのとき、そのとき、人と、相手のことを一番に考えて行動してます!!変に、ルールがどう、とか、大きな話にして、心配しないでください!!!!」
「まぁ、みんなに告げたところで、心配する人は、それが、彼らの直感だからいいんですよ。」
「そうだったね。」
「大事なのは、自分の直感を信じる。それだけです。別に心配されてもいいですから。」
「はい。」
「すなおでよろしい。」
「だって、考えてみれば、心配な人って、ほんと、心配だもんね。わたしも、わたしが外にいたら、絶対心配してるわ、自分のこと。」
n兎追うものは一兎もえず。かぁ…
たしかに、一年生に思い描いていたことが兎としたら、一兎も得てないかも…
でも、その間、ねずみとか、草とか、空とか、色んなもの得たなぁ…
てことは、兎という単位も、そうか、なんかのローマ字にしたら、いいんだ。
n兎追うものはnA得る。
真理だこれ。
おしまい。