選挙☆占拠☆明るい選挙バイト ~選挙バイトを通じて見える、裏方からの”選挙”の景色~

選挙☆占拠☆明るい選挙バイト ~選挙バイトを通じて見える、裏方からの”選挙”の景色~

※この記事は、Kumano dorm. Advent Calendar 2021の21日目の記事です。
なお、何らかの法規に反していたことがわかっていた場合、本記事を削除します(できるだけ個人情報とかには触れないようにはしますが)。

 

どうも、京都に来て衒学を学んでからはや3年目のただのアホです。
最近はと言うと、牛丼屋とかのレシートを回収して、ひたすらにそこにある金額を数えるだけの仕事をしていた。

2021年ももうあと10日程度で終わり。今年も新型コロナウイルスが猛威を振るう中、多くの出来事がありました。特に印象に残る出来事として様々な候補が挙がるでしょうが、その一つに総選挙が挙げられるだろう。
私も票を投じてきたが、それとは別の形で選挙に携わった。それは、選挙バイト、もう少し具体的に言うと、投票会場設営及び投票業務補助のバイト。おそらく、このバイトをやったことある人はそこまで多くは無いだろう。そこで、この記事では選挙バイトについて、実際に働いた私の経験と感想を交えて紹介しようと思う。
別に皆さんに公僕になって欲しいわけでは無いが、こういうバイトがあるんだな~、と軽くでも知ってもらいたい。それでは。

1.10/23ー選挙バイトのことを知った

それは10月14日のことだった。ふと選挙バイトに応募することにした。別に誰に誘われたわけでも無く、自ら公僕として国家権力の活動に協力したいわけでも無い。ただ、「金が欲しいな~」と思っていただけ。「今はバイトをしていないし、そろそろ収入が欲しいな」と思っており、そこに選挙バイトが候補に挙がったのだ。時給は1200円程度、まぁまぁ割りが良い、これなら公僕になってもいいな。
こうして、京都市某区における衆議院選挙の補助バイトに申し込んだ。その日のうちに派遣会社から連絡が来た。オンラインでの研修を受けたのち、働く場所(投票会場)を選ぶこととなった。

17日にオンラインでの研修を受けた。この時に働く投票会場を選ぶように言われた。なので、できる限り熊野寮に近い所を選んだらすぐに通った。また、思っていたよりも選挙バイトに申し込んだ人が少なく、昇給することとなった。やったね、た○ちゃん!

23日、私が働く会場のある、某区の区役所で研修が行われた。区役所には1時間近く早く到着してしまい、ずっと区役所周辺をぶらぶらしていた。研修では選挙管理委員会のお偉いさんから説明を受けて、実際の業務で使うバーコード読み取りの修行をしていた。

2.10/30ー投票会場設営

研修から1週間経ち、いよいよバイト当日になった。朝10時半に寮を出て、途中マックあるいはマクドに立ち寄り、職場すなわち投票会場へとチャリを走らせた。

投票会場では会場責任者と区の職員2名、そしてバイト(私含め)5名で会場設営を行った。行ったのは以下の作業。

・会場となる建物の床半分にシートを敷く。
・倉庫から様々な道具を取り出す。倉庫はボロ過ぎて、鍵がうまく機能しなかった(多分錆びてて入りにくくなっていた)。
・コーン、バー(棒)、机、投票箱などを指定の場所に設置する。
・候補者氏名が記載された紙をいたる所に貼った。わざわざ上から吊るしたのは、よくわからなかった。
・コロナ対策用のペンとアルコール液を補充した。
・コロナ対策のためのパーテーションをひたすら組み立てた。

こんな感じ。色んなものを置く・貼る場所については、上から見た図と過去の投票会場の様子を映した写真しか参考にできなかったので、それを再現するのに不便だった(責任者や職員もそれ以外の情報は持っていなかったし)。特に、候補者氏名が記載された紙、これについては写真しか参考にならなかったので苦労した。

もう一つ苦労したのは、コロナ対策である。今回はコロナ禍において初めての国政選挙であり、責任者や職員の方もコロナ対策に慣れていなかった。コロナ禍以前は、ペン(というか鉛筆)は使い回しだったのだが、使い捨てのペンを大量に用意することになった。また、消毒用のアルコールも置くことになった。
特に、パーテーション(画像1のようなもの)を作ったことは印象に残っている。大きな板3枚を留め具であの形に固定する作業は、私の目と腕には新鮮だった。寮の食堂にあるパーテーションも「こういう風に作ったのか……」と、パーテーション職人の皆さんに頭が下がった。

画像1、こんな感じのものを作ってた

こうして4時間近くにわたり会場設営の作業をやり終え、私は帰路についた。この後、私は少し寄り道し、京都市内にある綺麗な松屋(ホテルユニゾ京都烏丸御池店)に行って夕餉をとり、寮に帰った。

3.10/31ー投票業務補助

3-1.投票開始

ついに投票日となった。この日、起きたのは早朝5時、当然日も昇っていなかった。そんな中で寮を出発し、投票会場へとチャリを走らせて行った。まだ夜が明けておらず、さらに雨も降っており、かなり寒かった。雨が酷くなった時には、ファミマでメロンパンを食べつつ、雨が弱まるのを待っていた。何だかんだで集合時間より少し早めに、投票会場に到着した。こうして公僕として働く14時間が始まった。

6時50分ごろに、昨日の設営に携わった人に加え、投票所付近に住んでおり手伝いに来てくれた人も集まり、最後の確認を行った。そして、午前7時ー柏木(火の用心で鳴らすやつ)の合図で、投票が開始された。その時、心のどこかで表象できない感慨が起きた。

3-2.こなしていた業務について

基本的に、私たちが行っていた業務は主に4種類。

1.はがきのバーコード読み込みと本人確認(2人)
2.名簿対照票とはがきの整理とカウント(1人)
3.小選挙区投票用紙の発行(1人)
4.使い捨てペンの受け渡しと消毒の促進(1人)

以上の仕事を5人で1時間ごとに回していった。

最初の業務については、バーコードリーダーではがきを読み取り、名前と誕生日などを聞いて確認を行った。2つ目の業務は、単純にはがきと名簿対照票(はがきの代わりとなる紙)を有権者から受け取り、キリがいい枚数で区切っていった。3つ目の業務は、画像2のような機械にあるボタンを男女それぞれ分けて押し、小選挙区制の投票で使う用紙を発行し、有権者に渡した。4つ目の業務は文字通り、昼食・夕食休憩の時には、この業務を担当する人は休憩に入っていた。

画像2、投票用紙を発行するための機械

投票受付時間の合間合間で数の確認が行われた。これは投票会場から投票数について中間報告をする必要があるためである。そこでパソコンに記録された投票数、はがきと名簿対照票の数、投票用紙発行機械に記録された投票数を確認した。そこでは全体の数だけでなく、男女それぞれの数も確認された。

私たちがやってた業務は基本機械作業だったが、ローテーションを組んでいたので苦では無かった。特に2つ目の作業は楽だし、どれだけの人が投票に来てるのかが一目でわかるので少し楽しかった。ただ、3つ目の作業について、何で男女を分ける必要があるんだろうか、とは思った(人数確認をする必要があるとはいえ)。

3-3.当日の投票会場の様子

ここからは当日に私が見ていた投票会場の様子について述べていく。個人情報や投票会場については触れることはできないため、割りと抽象的な表現を使う必要のある場面が多いが、お許しいただきたい。

投票の勢いは時間ごとによって波があった。特に有権者が集中したのは、午前9時頃、午後1時頃、午後5時頃の3回、その時は人が集中し過ぎて列ができてしまい、それをこなすのに少し苦労した。ただ、それ以外の時間帯についてはそこまで人が来ることは無く、順調にこなしていった。

投票に来る人については、さすが京都、まるで正の二次関数的なグラフを描くような散らばり方をしていた。具体的には、若人と老人が極端に多く、その一方で家族連れが少なかった。理由については、会場の特定につながるため明言はできないが、まぁ周りの施設が関係しているのは間違いない。詳しく知りたい人は私から直接聞いてください。

基本的に一緒に働く人は優しかった。私と同じバイトの人とも連携が取れていたし、地元の住民はお茶やお菓子を差し入れてくれた。あんましゆっくり食べることはできなかったけど、落ち着くことはできた。おかげで少し緊張がほぐれた気がした。

このバイトでは食事も付いてきた、弁当ではあるけど。ただ、決して質素な弁当では無かった。昼はコロッケ弁当、そして夜は、何とお寿司(画像3)。いずれもボリュームは十分あり、その上インスタントの味噌汁も付いてきた(しかもあさり)。充実しておりました。

画像3、寿司弁当、うまい!うまい!

3-4.投票終了、そして片付け

午後7時も後半を過ぎると人はまばらになり、会場でも少しずつ片付けがなされていた。そして、午後8時、ついに投票が終了した。門が閉められ、投票終了の合図として再び柏木が打たれた。そして、投票箱は回収され、集計会場へと送られた。こうして、私たちの主な業務は終わった。

それからは片付けに入った。基本的には設営作業の時に置いたものをロッカーにしまうことと床に敷いたシートを撤収することだった。ロッカーに物をしまってもうまく収まらず、幾つかの物が入らなかったりしたけど。あと、シートを回収するのにも時間がかかってしまった。これにより、本来の就業時間を過ぎてしまった。要するに残業です。

こうして14時間以上にわたり働いた選挙バイトは終わりを告げた。疲れた状態で自転車を漕ぎ、寮に戻った。そこでようやく今回の総選挙について、はじめてその様相を確認した。元々、帰ったらすぐに寝るつもりだったが、突然同期に鍋をしないかと誘われた。私は疲れも忘れ、肉を食い、酒を飲んだ。

4.最後にー選挙バイトを経験して

最後に、この選挙バイトをして感じたことをつらつら述べていく。

まず、前提として私は望んで公僕になりたいとは思わない。最初は金目当てで申し込んだ。ただ、このように選挙にアルバイトとして参加することで、国を支える仕組みである選挙の裏側を見ることができたのは貴重な経験であった。いくら今現在の国家が嫌い、政治が嫌いとは言え、現場で実働し、国家・政治を支えている人々へのリスペクトは決して忘れてはいけないことを強く実感した。

また、選挙を運営する側から見る景色も新鮮だった。どういう人が選挙に来ているのか、どれくらいの人が投票しに来てるのか、どのように投票が進められているのかといった、(ごくごく一部ではあるが)選挙の実情が見られたと感じた。これはただ投票しに来るだけでは決して見られない景色である。

念を押しておくが、私は決して国家・政府礼賛をしたいわけではない。ただし、選挙を準備する、いわば裏方から見た景色というのは、やはり裏方に回らない限りは決して見られないものである(ここ当たり前体操)。

まぁ、上で述べたようなことに興味が無い人には、時給1200円、3日間で2万円以上稼ぐことができ、さらにそこそこ豪華な昼食と夕食が付いてるバイト、いかがですか?という位でおススメしておきます。多分、普通のバイトとよりは待遇良いと思う。

最後に、ここ最近行われそうな選挙の予定を述べて、この文章を締めようと思う。下に挙げる選挙を機に選挙バイトに申し込んでみてはいかがでしょう?皆さん、是非、楽しい選挙バイトを!

2022年4月15日:京都府知事選挙
2022年7月25日:参議院議員選挙
(参照:https://www.pref.kyoto.jp/senkyo/nittei.html)