京都大学法学部からの転学部資格についての備忘録と推論

京都大学法学部からの転学部資格についての備忘録と推論

はじめに

1か月ほど前、教務掛に行って転学部の資格照会を申請した。脱法[1]したくなったからである。ただ入試の点数が随分悪かったのでダメ元のつもりであった。しばらくして結果が戻ってきたが、その内容が少しばかり興味深いものであったのでここに公開する。これから転学部を志す人の参考となれば幸いである。

本文に入る前に、今回の転学部資格照会の結果を掲載する。

  • 総合人間学部 総合人間学科 文化環境学系 資格なし
  • 文学部 人文学科 資格なし
  • 経済学部 経済経営学科 資格あり

入試の点数×0.9は本当か?

転学部資格は一般入試の点数に基づいて判断されるという。下記の「令和3年度転学部(学科)出願の取扱いについて」の「転入の取扱いに関する制限等」の項では、全学の10学部のうち8学部で入試科目に言及しており、入試の成績が資格の有無に関わってくるというのは間違いなさそうである。

しかし転学部を思い立って情報収集をしたことがある方は、こんな噂を耳にされたことはないだろうか。

「入試の点数に0.9を掛けて、行きたい学部の合格点に足りていれば資格が認められる」

私が聴いて回った時にも、人によって0.9が0.8だったり0.85だったりしつつも大体同じような情報を得た。ギリギリ引っかかる程度の点数で京大に拾ってもらったのだから最初に入ったところに骨を埋めろ、というのは理屈としては成立しているように思われる。では私の入試成績が経済学部のお眼鏡にかなったのかというとそうでもなさそうである。下の表は私の入試成績を各学部の傾斜に合わせた得点と、その得点に0.9を掛けたものとを示している。なお括弧内は合格最低点との差で、数値はいずれも小数点第3位以下切り捨てである。

総人文 経済法 
得点451.24(-13.26)478.75(+2.74)495.75(+4.95)514.16(+8.66)
*0.9406.11(-58.38)430.87(-45.13)446.17(-44.62)

低空飛行もいいところである。ご覧の通りの成績であるから1割も引かれては箸にも棒にもかからない。そもそも総合人間学部に至っては入試の得点そのままでも受かってすらいない。しかし、経済学部は私にも資格を認めた。となれば、にわかに噂の信憑性に疑問が生じる。

「パラ経」の寛大な処置なのか?

(本項の記述は全くの推論であることにご留意ください。)

総人にはじかれた理由はまこと分かりやすい。まともに試験を受けても点が足りないからである。しかし文と経済は同じ条件(そのままの点数だと足りるが0.9掛けると足りない)である。ならば対応が分かれた理由は何であろうか?

両学部のカリキュラムの違いとして、私がすぐに思い当たったのは「卒業論文の有無」である。文学部は必修だが経済学部は任意である。文学部の指導教官の負担を増やさないために不確定要素である転入者を制限する、というのは筋が通る。また、文学部は系・専修が細分化されているために学生の増減による影響が相対的に大きい、とも考えられる。

経済学部の基準が甘いというのも考えられなくはないが、それらしい理由がない。あるとすれば法学部と一部課程を共有していることぐらいであろうか?

おわりに+おまけ

ここまで書いてきたが、いずれにしても実際のところは各学部の裁量次第としかわからない。今回判明したのは「法学部から経済学部への転学には必ずしも入試成績が良い必要はない」といった程度のことである。全学の脱法志願者の皆さんにとってはそれでも朗報かもしれないが、このまま無責任に筆をおくわけにもいかないので、いくばくかでもお役に立つことを願って、期間限定で各学部教務掛の公用掲示板に掲示されていた転学部に関する諸々の告知を貼って締めさせていただく。やたら画質が粗いがご容赦いただきたい。

降って湧いたがごとき出願の権利を行使するかどうか、私も考えあぐねている。


[1]法学部から脱走すること。