エスペラントを大学の第二外国語に導入する提案——日本と中国から始める構想【理想編/ラフ案】

エスペラントを大学の第二外国語に導入する提案——日本と中国から始める構想【理想編/ラフ案】

1. 問題の所在:英語教育の負担は翻訳機では解決しない

現在、世界中の学校教育において英語が共通の第二言語として教えられている。しかし英語はあくまで自然言語であり、不規則変化や例外が多く、学生への負担は相当なものである。そしてその負担は、同時に多くの可能性を奪ってもいるのではないだろうか。

「高精度の翻訳機が普及すれば、この負担は軽減されるのでは」という見方もあるだろう。しかし、そうはならないと考える。皆どこかで「直接話せることに優るものはない」と分かっているからだ。実際、翻訳技術がいかに進歩しても、英語教育が縮小する気配は世界のどこにも見られない。

2. 解決策としてのエスペラント:英語の簡単化の行き着く先

そこで浮上するのが、「英語をもっと簡単化できないか」という発想である。不規則変化を減らし、文法を整理し、より学びやすい形にする。

実は、この「英語の簡単化」を極限まで進めると、それはもはやエスペラントそのものになると言っても過言ではない。エスペラントは英語と構造的に似ていながら、極めてシステマチックで簡潔だ。したがって、英語からエスペラントへの移行は混乱を招くようなものではなく、むしろ自然な延長線上にあると言える。

なお、これは「英語の植民地性」といった政治的議論を展開したいわけではなく、あくまで学習効率と国際コミュニケーションの合理性という観点からの提案である。

3. 誰がこの移行を主導するのか:日本と中国の役割

共通第二言語を英語からエスペラントへと移行させる動きを、どの国が主導すべきだろうか。

通常であれば、エスペラントに最も近いとされるスペイン語圏が適任に思える。しかし現実には難しいようだ。ヨーロッパ言語圏の中で十分な影響力を持っていないのか、そもそも必要性を感じていないのか、理由は定かではない。

ここで注目したいのは、ヨーロッパの言語覇権争いとは無縁であり、国際的な影響力も持ち、さらにエスペラントへの「近さ」を独自の方法で演出できる国の存在である。それが日本と中国だ。

「エスペラントの漢字化」という試みは、まさにこの「近さの演出」を可能にする。漢字という東アジア共通の文字体系を通じて、エスペラントを私たちアジア人にとって親しみやすいものに変換できるのだ。そして、この「漢字化」のハードルが一般に想像されるよりも遥かに低いことは、下記リンク先のアプリで十分示せていると思う。

エスペラント関連アプリ一覧

世界の第二言語を英語からエスペラントへと移行させるという人類的事業——それを先導しうるのは、現状において日本と中国をおいて他にないと考えている。

4. 具体策:大学の第二外国語としての導入

日本での導入

日本においては、まず大学の第二外国語としての導入から始めるのが現実的だろう。幸いにして、大学の第二外国語には現状かなり余裕があるように思われる。多くの学生は、英語に加えてさらに新たな言語を学びたいというモチベーションを持っておらず、仕方なしに選択した言語を単位取得のためだけに惰性で勉強している——というのが実情だからだ。

その枠にエスペラントが入ったらどうなるか。理系学部では第二外国語の履修が一年しかないことも多い。しかし、正しい方法で学べば(最近の最先端の生成AIはどれも流暢なエスペラントを扱えるようになっており、それを活用した学習法の進化も著しい)、その一年で自身の英語力に追いついてしまう——エスペラントとはそういう言語なのだ。この圧倒的な学習効率の高さこそ、エスペラント最大の強みである。

実際に動くとしたら、やはり署名を集めるところからになるのだろうか。英語以外の外国語を学ぶモチベーションがほとんどない学生にとって、第二外国語をエスペラントで済ませられるというのは、悪い話なわけはないだろう。

中国での展開と日中連携

中国には、すでにエスペラントを教える小学校や専科大学が存在する。しかし、それで十分とは思わない。中国でも大学の第二外国語としてエスペラントが導入されれば、日中で連携してこの動きを広げていける。可能であれば姉妹校提携を結び、共同でエスペラント教育を推進するのも一案だ。

5. 教員確保の問題と解決策

教員の確保についても心配は無用だ。エスペラントは独学でも十分に習得可能な言語であるし、もし教員が必要となっても、エスペラント話者のネットワークは日本各地に存在しており、人材確保に困ることはない。

また、ロマンス諸語(仏語・伊語・西語など)に詳しい人なら、短期間の準備で初級コースは担当できるだろう。

6. 既存の第二外国語教員の雇用問題への対応

問題があるとすれば、おそらく「他の第二外国語を教えている先生方の職を奪ってしまうのではないか」という、非常に現実的な点だろう。これが最大の問題ではないかと思われる。

しかし、これもエスペラントが持つ性質を鑑みると、大きな問題にはなりえないと考えている。

その他の第二外国語を教える先生が、翌学期からそのままエスペラントの担当にスライドできてしまう——そこまで含めて成立してしまうのが、エスペラントなのだ。

エスペラントは、きちんとした文法ルールを持ちながらも、実際の運用では話者の母語の影響を受ける。その意味でも、さまざまな言語の専門家がエスペラントを教えることは、むしろ望ましいことなのではないだろうか。

7. エスペラントの予備教育効果(プロペデューティック効果)

「エスペラントの予備教育効果(プロペデューティック効果)」という話もある。エスペラント界隈ではあまりにもよく聞く話なので、当たり前過ぎて忘れがちだが、大切な要素である。

(注:プロペデューティック効果とは、エスペラントを先に学ぶことで、その後の他の外国語学習が促進されるという効果のことを指す。)

8. 期待される効果と展望

こうした取り組みを通じて、エスペラントが①英語と非常に似た構造を持つこと、②英語よりも遥かに高い学習効率を誇ること——この二点を広く周知していければ、世界の第二言語を英語からエスペラントへと移行させることは、決して夢物語ではなく、近いうちに実現可能なのだという共通認識を築いていけるだろう。

9. おわりに:必要なのは想像力と、伝える努力

現状、物量的には、この提案を実現するにあたってもはや何の問題もないはずだ。教材も、教員も、学習者を受け入れる枠も、条件は整いうる。

中国などは、その有り余るエネルギーを、もっとこうした世界全体のための事業に向けてほしいものである。それこそが、台湾問題に対しても「北風」ではなく「太陽」のアプローチになりうるのではないか。

あとは想像力の問題だ。「英語以外の言語が世界共通語になりうる」という可能性を、どれだけ真剣に想像できるか。

そして、政治家も教育行政に関わる人々も、あくまで一人の人間であり、世の中のすべてを把握しているわけではない。このようなアイデアが存在するということを、伝える努力をしても悪くないはずだ。届くかどうかは分からない。しかし、届かせようとしなければ、何も始まらない。


エスペラント関連アプリ一覧

エスペラント翻訳ルビ付与・漢字変換ツール (Esperanto Kanji Converter & Ruby Annotation Tool)

エスペラント文の各語根を対応する意味の漢字に置き換え、その上に小さなエスペラントの読み(ルビ)を自動表示するWebアプリです。エスペラント文の各語根の上に対応する翻訳ルビを付与することも可能です。 (GitHub: Takatakatake/Esperanto-Hanzi-Converter-and-Ruby-Annotation-Tool-Chinese)
https://esperanto-hanzi-converter-and-ruby-annotation-tool-chinese-dgw.streamlit.app

漢字化エスペラント入力支援ツール

漢字化エスペラント入力ツール (オンライン版) – ユーザーがエスペラントをタイプすると、自動補完候補として対応する漢字がリアルタイムに提示されます。約2,864語のエスペラント語根辞書から該当する候補を検索し、選択した漢字を文章中に挿入できます。 (GitHub: Takatakatake/ke-monaco-site)
https://takatakatake.github.io/ke-monaco-site_me/

漢字化エスペラント逆変換ツール – 漢字に変換されたエスペラント文を元のエスペラント文字(ラテン文字表記)に戻すWebアプリです。エスペラント漢字表記からオリジナルの単語綴りを復元できるため、漢字化エスペラント入力の補助ツールとして役立ちます (GitHub: Takatakatake/kanjized-esperanto-reverter)
https://kanjized-esperanto-reverter.streamlit.app/

エスペラント記事収集ツール

エスペラント記事コレクター (日本語版) – ポーランドのエスペラント放送サイト「Pola Retradio」を中心とした、オンライン上のエスペラント記事を自動収集し、学習素材として一括取得するStreamlitアプリです。指定した期間内に公開された記事のURLと本文(エスペラント原文)を自動で取得して一括取得します (GitHub: TakafumiYamauchi/Kolektilo_de_Pola-Retradio-Artikoloj)
kolektilo-de-pola-retradio-artikoloj-eo.streamlit.app

エスペラント音声文字起こし・日韓翻訳ツール (通称「JAKO」)

Linux版 – ZoomやGoogle Meet上のエスペラント会話音声をリアルタイムで文字起こしし、同時に日本語と韓国語に翻訳して表示できるソフトウェアです。Speechmaticsのリアルタイム音声認識API(エスペラント対応)を利用し、取得した文字起こし結果をGoogleクラウド翻訳APIで日本語・韓国語に即時翻訳します。 (GitHub: Takatakatake/jako-esperantlingva-paroltransskribo-kaj-interpretado-japana-korea-linux)

Windows版 – 上記ツールのWindows環境対応版です。 (GitHub: Takatakatake/jako-esperantlingva-paroltransskribo-kaj-interpretado-japana-korea-windows)

エスペラント4択クイズアプリ (日中韓国語対応)

単語版 – 約2,890語の重要語彙リストを元に作成されたエスペラント単語の4択クイズ学習アプリです。 (GitHub: Takatakatake/Esperanto_words_4choice_quizzes)

词汇版(中文)
esperantowords4choicequizzes-cxina-versio.streamlit.app

例句版(中文)
esperantowords4choicequizzes-fwvq3dnm2jq85gbaztjlyy.streamlit.app

어휘 버전(한국어)
esperantowords4choicequizzes-korea-versio.streamlit.app

문장 버전(한국어)
esperantowords4choicequizzes-korea-version-frazoj.streamlit.app

語彙版(日本語)
esperantowords4choicequizzes-bzgev2astlasx4app3futb.streamlit.app

文章版(日本語)
esperantowords4choicequizzes-tiexjo7fx5elylbsywxgxz.streamlit.app

【参考】 エスペラントは発音どおりに綴られ、語形変化も規則的で習得しやすい人工言語です。そのため、これらのアプリでは4択クイズだけでエスペラントを学ぶというコンセプトを実現しようとしています。単語学習版と例文学習版を活用することで、効率的かつ楽しくエスペラントの語彙・文法を身につけることができます。

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