誰宛てでもない文章

誰宛てでもない文章

拝啓

 

お元気ですか。これは誰宛てでもない文章です。

嘘かもしれない。読んでほしいと思って書いているから。自分の気持ちの整理のためというのもあるけれど。届く当てがなくても、届いてほしいなという祈りでもあります。でも読まなくてもいいよ。誰宛てでもないから。

誰宛てでもないけれど、今私の頭の中に思い浮かんでいる人を「君」と呼ぶことにします。

今私の中に、奇麗でキラキラしたものと、暗く、深い、底の見えない穴とがあります。最後に後者ばかり君に見せてしまったことを悔いています。なので、ここにはなるべく前者だけを書きます。だけど、どっちも本当です。

どうでもいい話からします。惜しいことをしたなあ。今、私は、惜しいことをしたなあという思いでいます。最後の時に君が私にかけてくれた言葉はすべて正解だったよ。たとえ私が期待していたものと違っていても、あれは君の愛だったよ。君の誠実さとやさしさだったよ。苦しいけれど、それがとても嬉しかった。

だから、私の思いが実らなかったこと以上に、人間として大好きな君との別れがつらい。淡く甘酸っぱい思い以上に、人としてこんなにも大好きで、私のことをこんなにも考えてくれて大切にしてくれている君と二度と会うことがないことが、耐えられないほどつらい。もし私が何か間違えなかったら、私が一番望んだものと違っていても、かけがえのない人間関係を築くことができていたのかな。最後の時に、「もう会うことはないんだよね」なんて聞かなければよかった。

でも君はやさしいから、きっとそれは許してくれないね。今それを選ぶことは私が苦しみ続けることだって、君はわかってしまうから。だから、ずっと時間が経ったあと、何ヶ月後か何年後か知らないけれど、きっと、私の前に現れて、そのときは、私と友達になってください。

いつかまた、君と楽しく笑いながら話せる日が来ると信じることで、私は今のこのつらさを耐えることができる気がする。いつでも待っているから。また縁がありますように。

大事な話をします。最大の後悔の話。「君が、君の言動で、私が傷ついたことを知って、傷ついてほしい」なんて言わなければよかった。きっとあれは君と一緒に悲しみたかったんだ。君と傷や痛みを共有したかったんだ。なのにそれをちゃんと上手く言葉にできなかった。

私の憂いが見当違いだったら笑い飛ばしてください。でも、きっと君は最後まで私のことを人として大好きでいてくれたから、どんなに覚悟を決めていても、私を傷つける返事を選んだことに痛みを感じていたよね。どんな覚悟だったんだろう。私にはもう想像することしかできないけれど、そして想像もつかないけれど、きっと、私を傷つける選択をしたこと、しなければならなかったこと、耐えがたいほど痛かっただろうな。

私はもう、君のそばで一緒に傷つくことはできないです。互いを傷つけあったあとに一緒にそれを悲しむことはできません。私の願いは叶いません。だから、「君が、君の言動で、私が傷ついたことを知って、傷ついてほしい」という言葉を、撤回させてください。撤回、なんて軽々しくできることじゃないことはわかっているけれど。私はもう、君に私のことで苦しい思いをしてほしくなんかない。その苦しみを分かち合うことはできないから。どうか、私の言葉が君にとっての呪いになりませんように。

最後の時に、自分のことでいっぱいになって君のことをちゃんと見れなくてごめんね。君のことを思いやれなくてごめんね。その場でやさしさを受け取ることができなくてごめんね。

私は思ったより苦しくないです。君が最後に最高の愛を、思いやりをくれたから。この文章を書いている間も、どうしようもなく涙が止まらないけれど、史上最高の失恋でした。私の人生は万事絶好調です!きっと前を向いて頑張っていける!

だから、今は自分の苦しみよりも君の苦しみの方が気になって仕方ありません。どうか君が健やかでありますように。私にできることは祈ることだけです。ただ祈ることだけ。

これは愛なのかな。これが愛なのかな。これが愛なのかもしれない。君が私に教えてくれた曲がSomebody to loveでよかった!!!またひとつ、君から受け取ったかけがえのないものに気づくことができた!!!

苦しくないって書いたけれど、嘘かもしれない。本当は君の特別になりたかった。君の気持ちが、君のすべてが欲しかった。もう二度と君のあらゆる苦しみを癒すことが私にはできないなんて、耐えがたいです。君が私に助けを求めてくれたこと、私が君のためにしてあげることができることがあったこと、本当に幸せでした。たとえそれが私にとってとても苦しいことであっても。そこに私の幸せがあったことも本当なんです。

悲しいけれど、とてもとても悲しいけれど、私が君にしてあげられることはもう祈りのほかになにもない。君のことが心から心配です。もうそんな身分じゃないのはわかっているけれど。傷つけるようなことを言ってしまったことを心の底から悔いているから。最後に見た君の姿は泣いていた気がしたから。

君はこんなに未熟で弱い私の人格にいつも最大の敬意をくれた。いつかの君は過去の私に、私の嫌いな私に、きっと自分のことを大切にして、覚悟をもって決断したんだって言ってくれた。だから今、自分のことを大切にしたい、自分を好きになってあげたいって思えるようになった。これは一生の宝です。

私は君に何も返せていない。本当に悔しい。神様、どうか私に、あの人のためにしてあげることのできることをください。ただ祈ることのほかに、なにか。だって、こんなの急すぎる。こんなのってないよ。あまりに大きなものを受け取ってしまったのに。

こんなことを神様に言っても仕方ないので、祈ります。それしかできることがないから。私が自分を好きになれたように、君も君を今より好きになりますように。とてもやさしくて素敵で誠実な君を、君自身が受け入れて、好きになれますように。私の大好きな君を君も大好きでありますように。

私が君にぶつけてしまった私の苦しみのすべてが、君への呪いになりませんように。私の祈りが届いて、なにか温かいものだけが君の中に残りますように。

これは誰宛てでもない文章です。だから返事は要りません。そんなものは有りません。

 

2025/7/25追記

一週間経って、いくらか気持ちも落ち着いた。冷静になってみると、君はやさしかったり誠実だったりするだけでもなかったな。君は、狡くて、自分勝手で、酷い人だったよ。自分の苦しみのために相手の苦しみが見えなくなるような人だったよ。どうすれば私が君の頼みを断れなくなるかを、よくわかっていてそれを選ぶような人だったよ。君が応えることのできない私の気持ちを利用するような人だったよ。

でも、不思議と君を責めたり恨んだりする気にはならないな。私だって、一方的に君を責められるほど無謬じゃないし。何より、そのときの君は自分のことでいっぱいいっぱいだったってわかっているから。君は自分が自分勝手な人だってわかっていたから。

私は、きっと、そういう部分も込みで君のことが好きでした。狡く、自分勝手で、酷いことをするほどに葛藤の中もがく君を愛おしくさえ思う。君は狡く、自分勝手で、酷くて、私は傷ついたけれど、そうならざるを得ないほどに追い詰められた君に頼られたことはとても嬉しかったんだよ。君に狡くて、自分勝手で、酷いところがあったからこそ、最後に私を傷つけないためにたくさん悩んでくれたのが嬉しかったんだよ。

 

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