【連載】コロナ禍の京大1回生 #4 -1回生をつなげる会-

【連載】コロナ禍の京大1回生 #4 -1回生をつなげる会-

4.CAP制導入とコロナウイルス禍、2つの未経験下の履修登録

編集 タウリン

2020年度入学生は。履修登録に際して、CAP制の導入とコロナウイルスによる未曾有の事態という、二つの未経験の状態に置かれた。

以下詳しく記録していくにあたって、大きく前期と後期で分ける。

 

◇前期

・CAP制の導入

CAP制とは、単位の実質化*1を目指し導入された、1学期に取得できる単位が30単位(医学部は34単位)のみに制限されるという制度である。この制度の導入によって、今までのようにとりあえずたくさん講義を取っておいて長い履修登録期間に取捨選択していくことができなくなった。特に理系学部では、必修講義、推薦講義を入れると人文系で入れられる講義は1コマしかない、という事態もざらにあった。

*1 単位の実質化

単位の実質化は平易に述べれば「今まで適当に講義を受けてその講義の内容が「身についてない」のに単位を与えることを改善しよう」という、取り組みである。そのために予習復習が大事だから一学期にとれる単位の数を減らして予習復習の時間を取れるようにしようという形になっている。

(編注 複数ツイートに連なったものを編集時にまとめた)

しかし、実際に講義が始まると、CAP制によって登録でいる講義数が制限されていてよかった、という声も多くきかれるようになる。この事態については次の項で詳しく述べる。

力の抜き方を知らない1回生

例年ならば、履修登録確定前に十分講義を受講することが可能であった。しかし今年度の前期は休講期間と履修登録期間が重複したため講義についてしっかりと見極めをすることができなかったといえる。このような状態の上に先に述べたようにCAP制によって今年の1回生からは1学期に時間割に登録することができる単位が制限されている。

それに加えて講義の開講形態も対面から全面オンラインに変更された。

オンライン授業では、他の受講生が可視化されなかったり、「どの授業が効率よく高い評価を得られることができるか」事前に先輩に聞けなかったり、「うまいサボり方」も先輩から盗み取ることもできなかったりした。

かくして、近年導入されたGPAという評価制度の下で、今年の1回生は手持ちの講義をとにかく一生懸命やらなければいけない状況に追い込まれ、睡眠時間を削られたり、精神的に負荷を無理にかけてしまう学生が散見された

(匿名希望)

·2020年6月1日

今期たぶん通常の10倍ぐらい課題あるよね

授業中に済ませられない量の課題を毎週出す授業なんてふだんは数えるほどしかない

 

スポ実不開講

スポ実とはスポーツ実習の略称であり、バトミントンやウォーキングなど様々な種類のスポーツから選択できる科目である。ほとんどの学科では健康群として必修単位数が定まっている。スポ実は1学期につき1単位の取得となっており、前期と後期合わせて健康群の2単位取得となることができる。

また、スポ実によって交友関係を広げることが可能だったはずだ。

シラバス不全

対面試験ができなくなる見通しで成績が毎回の課題をもとにしてつけるのか、オンラインで試験を実施して、その結果で成績を付けるのか見通しが立たない状況になった。

また、休講期間があったため各授業の内容も不明となった。このようにして、本来ならば履修時に散々チェックしたシラバスをもとに学習計画を立てるが、シラバスが全く機能しない事態に陥った。

 

◇後期

・CAP制の開放

後期になると総人など一部の学部以外はCAP解放申請をし、CAPを解放できた人も少なくなかった。特に教職課程をとるひとはCAP制の範囲内では必要とされる講義をとりきることが難しい。

申請が通るか否かの基準は各学部によるが、前期のGPAの高さが対象となっている。

しかし、CAP制がある中でCAP解放ができた人は非常にまじめな人が多く、講義が詰まっていて大変そうな人も散見された。

あづま

@azma_haiku

·2020年9月1日

CAP解放 GPA4近くねぇ…………(どうしよ)

 

二転三転の開講形態

前期のような状態を踏まえて、下宿を引き払って実家に帰った学生も多くいた。しかし履修登録が確定したのちに開講形態が対面になった授業もあり、混乱が広がった

また、はじめから対面授業を行う方針だった講義をとっていた学生の中にも苦しそうな声はあった。対面授業が少ないのでそのために下宿するのも、実家暮らしの人も京都に来るのも煩わしいのだ。

 (匿名希望)

·2020年10月12日

自宅生スポ実取るべからず

 

まとめ

今年の問題は突き詰めれば、新型コロナウイルスとCAP制の導入という2つの未経験に集約される。しかし、どのような問題があったとしてもそれに対する対処が最も事の左右を決定する。講義や課外活動を含めた学生生活の主体は学生自身に他ならない。しかし今年様々な決定が学生の介入なく、また学生を主眼におかれるわけでもなく決められてきたことが上記の学生の苦しみにつながったことは否定できない。

この、学生なき決定は履修登録に関する問題のみならず課外活動の過度な帰省やタテカン問題にも通じる。自分は自らの履修の組み方に反省し、当局には直前の発表や学生不在の決定を改めてもらいたい。