僕のタテカン

僕のタテカン

重要だから何度でもいうが、このメディアのコンセプトはタテカンである。これはタテカンのような自由な表現の媒体を目指すという意味だ。

ところが、このコンセプトを文字通り受け取った2ヶ月前の愚かな僕は、文字通りタテカンのような記事を書かなくてはと思って、この記事を書いた。ボツにするのももったいないから、そっと投稿する。

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タテカンにも様々な種類があるが、その多くはサークルを宣伝するものである。それゆえ、タテカンのようなものをつくる(書く)と考えたときに思いついたのは、僕もサークルの勧誘をすることである。

けれども、今僕が実際に所属している部活の名前を挙げて、筆者が特定されるのは怖いし、部員に見られるのも決まりが悪い。しかも、それでは部のブログと変わらないから、ここでは僕がやってみたいサークルを列挙してみることにしよう。

今のところただの空想の産物だが、この中から一つでもやってみたいと言ってくれる人が現れて、実際に形になったとしたら、とてもうれしい。そして、これを読むことで、僕の趣味嗜好が見えてくると思うので、本稿を以て、筆者の自己紹介にかえたい。

それでは、僕のやってみたいサークルを5つ紹介する。

 

①太宰治地位向上委員会

太宰治ほど頽廃的で、堕落した人間であるという印象を持たれている人物もいないのではないだろうか。現代もなお、「ヤク中」、「女と心中して自分だけ生き残った」、「四度自殺を試みた」、「芥川賞が欲しくてたまらず、選考委員にすがりついた」などの強烈なエピソードばかりが一人歩きして、どうしようもないだめ人間であるというイメージがこびりついている。そして、彼は遺作をもって、自ら「人間失格」と宣言してしまったため、このイメージは決定的なものとなっている。

しかし、前衛的、実験的な前期作品や、批評家としての鋭い一面が垣間見える中期の作品が好きな僕としては、こうした「ダメ人間太宰治」のレッテルが貼られている状態は好ましくない。彼は自分が崇め奉られるのを望んでいない節は、彼の小説を読んでいるとよく分かるのだが、それでも僕は彼の魅力を再発見し、発信したい。太宰への認識に新たな一面を加えようというのが本委員会の趣旨である。

 

②フルーツグラノーラ研究会

僕は毎朝フルーツグラノーラ、略してフルグラを食べている。フルグラは麦やドライフルーツが原料だから、コーンフレークとは違う。しかし、「朝から楽して腹を満たそうという煩悩の塊」であることも「寝ぼけてるから食べてられる」のも、コーンフレークと同じである。フルグラをもっとおいしく食べる方法はないか。これを追求し、新たな境地を開きたい。毎朝煩悩に苛まれている者、斬新なレシピを持つ者来られたし。

 

③バーチャル図書館を作る会

一冊も本がない図書館、そもそも建物がない図書館。だから、バーチャル図書館。

とはいえ、本の貸し出しができない図書館は図書館といえるのか?

図書館には本の貸し出し以外にもいろいろなサービスがある。利用者の調査・研究を支援し、質問に回答するレファレンス・サービス、ある特定の主題分野に関する最新情報を定期的に提供するカレント・アウェアネス、読書会やビブリオバトルといった本に関するイベントの開催、主に子ども向けの朗読会(読み聞かせ)の開催、海外出身の方向けの日本語教室などなど。こうしたサービスだけを行う、無形の図書館があってもいいのではないか、こうした「図書館」なら、ちっぽけな大学生にもできるのではないかと、図書館が好きな私は考えた。完全な思いつきで、中身が全くないのだが、本を愛好する人に集まって欲しい。さらなるアイディアをもって、語り合おう。

 

④ろまん燈籠クラブ

またまた太宰治の登場である。太宰の『ろまん燈籠』という小説はご存じだろうか。『愛と美について』という小説の続編なのだが、この作品は三男二女の個性豊かな5人兄弟が物語を連作し、1つの作品を作っていくという小説である。太宰治の小説のなかで特に好きな作品の1つなので、作品についても語りたいことがたくさんあるのだが、それは置いておき、この小説を読んで僕は、この兄弟のように、物語の連作を何人かでやったら、おもしろそうだと思ったのである。小説を書いてみたいけれど、うまい題材や形式が浮かばず、何も書けないという人は多いのではないだろうか。そんな方々に集まってもらい、題材や書き方について話し合いながら、創作を楽しめたらいいと思っている。

 

⑤東京ヤクルトスワローズを応援する会

傘は降雨時ではなく、得点時に使うもの[i]

夏と言えば海でも甲子園でもなく、神宮球場の花火[ii]

という変わった方はいないだろうか。

あるいは、昨年の5月から記憶がない[iii]という方、いや一昨年の10月[iv]から記憶がないという方、そもそも2015年[v]から時計が止まっているという方。

その方は例外なく東京ヤクルトスワローズのファンに違いない。心当たりのある方は是非ご連絡いただきたい。同胞よ、集え。

 

以上が僕の空想上のサークルである。これらが形になるのか楽しみだ。最後に、なかなかマニアックな話をしてしまって恐縮であるが、お許しいただきたい。

もし、いずれかに興味を持たれた方がいらっしゃればこちらまでご連絡ください。


[i] 我らが東京ヤクルトスワローズには得点が入ると傘を振って踊るという奇妙な風習がある。

[ii] 我らが東京ヤクルトスワローズの本拠地、神宮球場では夏休み中、毎試合300発の花火が上がる。

[iii] 我らが東京ヤクルトスワローズは昨年5月に16連敗を喫し、以後最下位を独走した。ファンには以後の記憶を喪失した方が多い。彼らは5月以降何があったか思い出せないのだ。

[iv] 我らが(略)は2018年クライマックスシリーズにおいて、巨人の菅野投手にノーヒットノーランを食らった。ここで、記憶が飛んでいる人も多い。

[v] 我(略)は2015年にリーグ優勝を果たし、日本シリーズにも出場した。日本シリーズ第3戦で山田哲人が3打席連続ホームランを放ったことを昨日のことのように語り、それ以後のことは覚えていないファンがいる。