「音姫」
書いたひと: COLOR pencils

Sound Princess

その名も音姫。トイレを使うすべての女性を音の恥ずかしさから救ってくれるお姫様である。

今回のエッセイは、そんな音姫について日ごろ思い溜めていたことを書きたいと思う。

1つ目 「おとひめ 変換」

このエッセイを書きながら気がついたのだが、パコンでは音姫の変換がでてこない。

乙姫/おとひめ/オトヒメ

いやふざけんな。浦島太郎に玉手箱をあげる意地悪な姫よりも、音姫の方が100倍支持率高いから。乙姫よりも100倍社会に貢献してるから。それなのに乙姫が音姫をさしおいて出てくるってどゆこと?

しかもマイクロソフト社さんよぉ、カタカナでオトヒメと使う時がいったいいつあるっていうんだよ、えぇ?

次の文章を英訳しなさい

トイレで前に並んでいた外人が音姫の音を聞いてこの音は何かと訪ねてきたので、私は「おぉ、オトヒメ」といったが伝わらなかった。「sound princess」といっても伝わらなかった。

When I was waiting in a line in the bathroom, a foreigner in front of me who heard Otohime asked me what this sound was. I answered “Oh, it’s Otohime.” but she didn’t seem to understand. I tried to answer again in different way saying “sound princess” but she couldn’t understand again. Oh, what a pity.

(南野出版黄本 平成32年度清子大学英語入試)

普通にむずい。

2つ目 「ちょっとしたトラウマ」

高校2年生になってから、文字通り家の隣にK大学が移設されてきた。一般人も市民かつ18歳以上であれば図書館を利用することができたので、受験生の時は自習場所としてせっせと利用させてもらっていた。うれしいことに図書館は平日10時半まで空いていたので、最後まで残って勉強させてもらっていたのだが…

ここで考えてほしい。

大学生が、テストもない平日の放課後に、10時半まで残って勉強するだろうか?しかも私のように家が近いわけでもあるまいに。

午後9時を過ぎるとほとんどの学生は姿を消し、館内は静けさに覆われる。

2・3時間ほど勉強していると1回くらいトイレに行きたくなるので、図書館の隅にあるトイレに向かう。

さすがは私大、すべてのトイレはウォシュレット付きであり、トイレの中も非常にきれいである。

「やったぁー」と思いながら便座に座り、用を足そうとすると、ここで一つの事実に気が付いた。

音が…

図書館中に響いている。

そうだ。さっきトイレにむかった男の子のチロロロという音も、勉強していた私の耳に届いていたではないか。

図書館といっても私が利用している1階は、机がたくさん置いてあるだけのオープンスペース。音の反響もしやすく、またトイレの入り口にはドアが付いていない。

不覚。

トイレのきれいさに手放しに喜んだものの、まさかこんなとこに落とし穴があるとは…

と、嘆いてみたものの時すでに遅し。今更止められるはずもなく諦めかけたのだが、ふと視線を落とした先に、すべての女性の味方、音姫のボタンが目に入る。

よかった助かったぁ。これで恥ずかしい思いをしなくてもすむよ、ハハハ…

と喜んで音姫ボタンを押した。が…

音が微妙に小さい。

隠そうとして隠しきれてないものほど恥ずかしいものはない。

というかこれでは隠すどころか、リアルな音と音姫の二重奏である。

便座の上でやばいやばいと、あわてて音量をMAXにした私なのであった。

3つ目 「救えないもの」

いくら音姫といえども救えないものがある。それは、大の音である。

仮に隠しきれたとしても、SNSみたく、自分のトイレの長さが音姫によって全体に公開されてしまうのだ。

あぁなんてジレンマ。公開の設定が友達のみでも嫌だね。

4つ目 「タイミング」

私は集団塾が苦手である。みんなが同じことで競争しているあの環境が耐えられないのだ。

しかし、いくら嫌だといっても模試は受けに行かなければならない。

どんな塾でも新宿校などの都会の校舎は非常にきれいで、塾嫌いの私も会場がきれいだと少しは盛り上がる。ボロいビルの中にある塾校で模試を受けた後だと、なおさら新宿校の素晴らしさに盛り上がる。

その時もおそらく新宿校だったと思う。模試の休憩時間の使い方はそれぞれだが、私の場合、あまり行く必要がない時でも気分転換としてトイレに行っていた。

新宿校のトイレには、ウォシュレットはついていないのだが、センサー式の音姫はしっかりと設置されており、気分転換に行くには十分なきれいさである。

どこかの大学のように音が外に漏れることもなく、安心して音姫を使いトイレを済ませた。しっかりと水も流し、服も整え、よぉしと思ってドアを開き、外に出る。すると…

ジャァァァァァァァァァァァァ~…

えぇぇぇ…

今さら何の音かくしてんの?

どうやら音姫が設置されている場所が悪く、ドアを開けてトイレから出ようとすると、センサーが反応してしまうらしい。

その後、私はトイレに行くたび、音姫をならさないように努力したのだが、それは、さっき解いていた問題より難しい問題だった。

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